③で記したような人事で行政改革に着手した鷹山は、同時に財政の立て直しのために、産業改革にも取り組んでいた。
ポイントは二つ、「領地に荒れ地を残さないこと」「民の中に怠け者を許さないこと」である。そして奥向き費用(自らの給与/生活費)は再び50両の削減を行い、浮かせたお金を産業推進のために充てた。
若き藩主は、
「わずかな資金でも長い間続けるならば巨額に達する」と言い、他界するまで50年間やり通した。(逆の言い方をすれば、今の政治のように無駄金を使い続ければ、長い期間には巨額に達するのである)
鷹山の倹約はケチではない。
「施して浪費するなかれ」(財政立て直しに必要なところには投資し無駄遣いはしない)に徹していたのである。
そして社会と道徳の改革も行った。
東洋思想の美点の一つは、経済と道徳を分けない考え方にある。
「賢者は木を考えて実を得る
小人は実を考えて実を得ない」
武士も農夫も共に従わなければならない「人の道」に導いた。
こうして枚挙にいとまが無い多くの努力を繰り返し、国を再生していったのである。
あと数日で衆議院選挙の投票日を迎える。
代議(国民の代理として)を選ぶ日であるが、選ばれた人は代議ではなく代党となって、民の声が届かなくなってしまう。
その中でも少しでも将来に希望を持てる国にするために、誰かを選ばなければならない。
その基準に鷹山の取り組んだ改革が参考になれば良い。
最後に鷹山の家庭観を記しておこう。
「自己を修める者にして
はじめて家を治め
家を整える者にして
はじめて国を統治できる」
(この項は内村鑑三著「代表的日本人/英文」を和訳した鈴木範久の原稿を出版した岩波文庫から引用・参照しています)
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