2009年6月22日月曜日

裸の王様

 20年前、中国では天安門事件が起きた。
 中国共産党に反する若者が抗議行動を起こしたとされているが、彼らは共産主義に反対したのではなく、一党独裁政治に反対したのである。
 この事件に対しアメリカや日本は人権侵害だとして見直しを求めているが、我が日本はどうなのだろうか。 

 日本は自由民主主義国家といわれ、自民党が長期政権としてその座に居座っている。
 そしてその立場が危うくなると対抗する勢力に対し官憲に調査を促し、同じような、またはそれ以上の不祥事があるであろう自らを誤摩化し正当化しようとするやり方は、旧ソヴィエトや社会主義政治に数多ある、独裁政治の典型だと気づかないのだ。

 北朝鮮では政権の座を一家族で独占し、今また三代目がその座につこうとしている。
 こうした政権の委譲は民主主義ではないと問題化している日本において、代議士の特権を子どもに譲ることについては、権力者は異論すら受け付けようとしない不思議な感覚。
 これも北朝鮮の政権委譲となんらかわることはないと思うのは、私だけだろうか。

 中国の一党独裁は批判し、北朝鮮の政権委譲も批判しながら、自らはさもあらんと正義面をしていても国民の目にはその独善的な考えが見通せるだろう。


 経済が底をついた、上向いたと報道されているが、これもまもなく行われる選挙に対する現政権側の宣伝であることはここで記すまでもない。
 太平洋戦争中食料や武器の補充がなく逃げ回った前線の兵士を、時の権力は「転戦」と報じて国民を騙し続けた。
 敗戦後日本は「変わった」と言われているが、この64年間、国民を騙し続ける姿勢はなんら変わっていない。

 長年進められていた移民政策も、官僚と手を組んだ移民業者が国民を騙して海外に放り出したまま無責任を決め込み、昨年違約を訴えた被害者に対しても、官僚はまともにその非を認めようとはしない。

 バブル経済の破綻から2年が経過した頃、経済企画庁は船田長官の言葉をして「経済は底をついた。これから順調に回復する」と言わしめた。この言葉を信じたバカというか真面目な新卒者は「来年になれば思い通りの就職ができる」と就職浪人を決め込んだ。しかし現実は毎年悪化する一方で、彼らは就職の機会を失ってしまった。
 その時代に騙された人たちが「フリーター」の言葉で象徴される人たちである。

 「フリーターが日本の将来を危うくしている」とまことしやかに口にする官僚や政治屋たちは、自らの嘘がその骨幹にあることに気づいていないのか、気づくほど利口ではないのかもしれない。はたまたどんなことにも、責任は自分にあらずと決め込んでいるのか。

 昨年の4月、時の官房長官は「車が減れば地球温暖化に貢献できる」ともっともらしい言い訳をして、車の暫定税率の課税期間を延長した。それから1年も経たない今年の初春には新しい官房長官が「高速道路の料金を安くするからどんどん走ってくれ」という。
 なんなんだ、この節操のなさは!

 これだけ度々騙され続けていると、どんなバカな国民でもその嘘を見抜くだろう。
 政治屋や官僚がまだ国民を騙し続けられると思っているとしたら、一番バカなのは権力者だといえる。

 官僚の待遇改革を進めると「優秀な人が集まってこない」と、発言をした政治屋がいたが、「優秀な人材」とは、何に対して優秀なのか理解に苦しむ。
今までの例を振り返れば、「国民を騙す術に優れている」「自らの利権を守る術に優れている」。こんな人材は優秀なのではなくて、国を破綻させる売国奴に等しい。

 嘘に長けた権力者に教えてあげよう。
 経済は当面良くなることはない。経済は供給と消費のバランスが保たれたとき発展する。消費力が弱まり続けていて、底をつくことはない。

 こうした発言を繰り返す権力者を「裸の王様」という。
 自らの姿が見えない哀れな人間ということだ
 本当の自由民主主義とは何なのか、独裁主義とは、権力委譲とは....。
 本来の意味をはき違えて正当化しているつもりでも、国民は冷静に見極めている。

 日本の自由民主主義を破壊したのは自民党である。
 

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