2009年8月13日木曜日

夏が消えた

 8月7日、東京の三鷹〜八王子を結ぶバイパス「東八道路」を 東から西に向かって走っていた
 多摩霊園の手前には 左右に大きな森林公園がある

 ちょうどそこに差し掛かったときであった
 道の正面に入道雲が見えた

 入道雲を背景に 左右に分かれた森を結ぶ歩道橋を
虫取網を肩にして 少年が歩いている

 夏の風景である

 天候不順だった今年は 梅雨明けの晴れ間も少なく
初めて出会った夏景色だった

 この風景少し前までは ごく当たり前のように
どこでも見られた
 なぜ今
こんなに懐かしく微笑ましく感じるのか

 ゲームや塾通いで
子どもたちが町から消え
日本の風景から 夏が消えた


 数日前から蝉が一斉になきだした
 台風一過のわずかな夏に 自分の存在を示すかのごとく
その声は地上にこだまする

 蝉には順番があり
その声の移り変わりで季節の変わり目を感じるのだ

 梅雨が明けると同時に
一段と強まった日差しを木陰にまで運んでくるのが
ジージーとなくアブラゼミやミンミンゼミ

 この声を聞くと いやでも真夏の訪れを意識する

 立秋を過ぎると ジージーとなく声に混ざって
日差しが陰る夕方には
ツクツクホーシ ツクツクホーシと
ツクツクホーシがなきだし 夏休みの終わりを告げる

 ツクツクホーシがなきだすと
子どもたちは日焼けした身体で机に向かい
一斉に夏休みの宿題に取りかかる
 
 昔から変わりない 風景だった

 ツクツクホーシの声が弱まったころの夕方
もの悲しい声が木々を渡る
カナカナがなきだす頃になると
夕方の風は秋を運んでくる
 夕焼けは落ち着いた赤さになり
木々が夏の輝きを無くす



しかし
数日前から一斉になきだした蝉には
時間の流れを教えてくれる順番がなくなってしまった
 ミンミンとツクツクとカナカナが
一斉になきだしたのだ

 そういえば今年は
夏らしい夏日が続くこともない

 温暖化で地球自体の温度が上がり続ける一方で
母なる太陽は活動を弱め
 地球は小氷河期を迎えるという

 聞き流している蝉の声も
夏と秋が混同している

日本の風景から夏が消えていく..........

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