2009年7月7日火曜日

ボランティア

 神奈川の独居老人家庭の安否をたずねて、巡回するボランティアグループが演劇によって趣旨を訴え仲間を集めていることをテレビが特集した。
 いかにも善意の集団のように聞こえるが、何か腑に落ちない。

 加入している商工団体からボランティア活動に参加するよう求められた。
 「ボランティアって何をするのですか?」
 「朝早く起きて町の掃除をしたり
  寝たきり老人を入浴させたり.....」
 「そんな活動はボランティア活動ではない
  そうした活動は役所の仕事
  役所の仕事をみんながやるから
  彼らは動かなくなる
  ボランティアとして社会活動をするというなら
  やるべきことは
  役所へ出向いて雑談に講じている者をみつけ
  首根っこを掴まえて町の掃除に出向かせること
  それならば
  ボランティア活動として意義がある」
 と言った。

本当のボランティア活動とは、「やるべき立場」の人がやることを手伝うのではなく、
役所のできないことをやることだ。


 数年前アメリカの地方空港で便を待っていたときのことだった。
 数人の高校生らしい女子のグループが入ってきて
プラカードの準備を始めた。

 どうやら私が乗ろうとしている飛行機で野球のチームが到着するらしく、
彼女たちはそのチームのサポーターであることがわかった。

 まもなく飛行機は到着し乗客が降りてきた。
彼女たちは歓声をあげてチームを迎え始めた。
 チームの最初に出てきたのはダウン症の少年たちであった。
 しかし彼女たちは少年の後に続く選手と同じ歓迎を、少年たちにも与えていた。

 このシーンを見た時「これが本当のボランティア活動だ」と思った。

 それはダウン症の少年たちに対するサポーターの対応ではない。
 チームが自分たちの一員として、障害のある子どもたちを加えていることに対してである。

 健常でない者にとって一番の憧れはスポーツ選手である。
 チームのメンバーに加えて一緒に行動することは、何にも勝る子どもたちへの励ましになる。
 これは役所ではできない。

 日本ではプロチームの、どこがこうした心ある活動をしているだろうか。
 チャリティと名打って集めた金を寄付しているのは聞いたことがある。
 しかし障害を持つ子どもたちは「何に幸せを感じるか」考えていない。

 冒頭の独居老人家庭を巡回するのも役所の仕事である。
 役所の福祉課へ出向いて様子を見てみるがよい。
 彼らほど時間を持て余している連中も珍しい。

 相談がくると福祉事務所へ連絡する以外仕事らしい仕事をやっていない。
 一般の市民がボランティアという的外れの活動をすればするほど、
 彼らは時間を持て余す。

 本当のボランティア活動とは
役所ではできない活動を続けることである。


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